職場でふと感じた違和感がある。
それは、赤字で取引しても「目標達成」になるという事実だ。
以前勤めていた職場では、営業担当のKPI(評価指標)に「中古車の下取り台数」が設定されていた。
だが、この指標には不思議な点があった。
赤字で車を引き取っても、黒字で引き取っても、
「1台」は「1台」なのだ。
◆ KPIが“利益”でなく“数量”になる理由
なぜ、こんなことが起こるのか。
理由は単純だ。
利益を正確に計算するのは手間がかかる(個別減価計算など)。
一方で台数の集計は簡単で、現場に伝えやすい。
「測りやすさ」が優先され、本来見るべき成果が横に置かれる。
こうして“管理しやすい数字”がKPIに採用され、現場の指標はズレていく。
◆ 「利益」は現場にとって他人事
もう一つの理由は、現場が「利益」に当事者意識を持っていないことだ。
売上や利益が給料に反映されない職場では、
利益は「他人の責任」になりやすい。
「私は台数ノルマをこなしました。利益が出ないのは会社の設定ミスでしょ?」
こうした空気が潜在的に共有される中では、
赤字で取引しても「自分の責任ではない」となりやすい。
◆ 空気と仲良し主義が支配する職場文化
さらに厄介なのが、「空気を乱さないこと」が最重要視される職場文化だ。
波風を立てる人は「めんどくさい人」扱いされ、
空気を読み、相手の機嫌を損ねずにいる人が「いい人」と評価される。
こうなると次のような空気が常識化する。
✅ 赤字でも数字さえ合えばOK
✅ 頑張っているからいいじゃないか
✅ 文句を言わずやる人が正義
つまり、「人間関係のなめらかさ」が「数字の正しさ」に勝つ文化ができてしまうのだ。
◆ 「利益が出なければ意味がない」は響かない
このような文化の中では、
「利益が出なければ意味がない」という言葉は響かない。
なぜなら、利益は痛みを伴わない“他人事”だからだ。
数字に責任を持っていないため、利益や経営の問題にピンとこないのだ。
◆ 経営層すら“本質”を見ていないケースも
経営層が「台数目標を立てれば、なんとなく回るだろう」と考えているケースもある。
特に小規模企業では、経営陣やスタッフの中に会計に明るい人材が少なく、
正確な利益をタイムリーに把握できないことが往々にしてある。
結果として、「見ているつもりで見ていない経営」になってしまうのだ。
◆ 本質的な問題を指摘しても改善されない理由
このような構造の中で「それ、おかしくない?」と指摘しても、
✅ 現状維持を好む空気
✅ 経営者自身の無知
✅ 人材不足
これらの理由から、
「うちの会社では無理」と改善されないことが多い。
◆ では、どうするか?
だからと言って、あきらめる必要はない。
むしろ、この構造の誤りに気づける視点こそが、その組織の「目覚まし時計」になる。
✅ なぜこのKPIでなのか?
✅ 本当に利益が出る仕組みになっているか?
✅ 組織が社員の甘えを温存していないか?
こうした問いを投げかけ続けることが改善への第一歩だ。
もし自社で管理が難しければ、外部の会計専門家に委託するのも一つの方法だ。
費用はかかるが、タイムリーな利益把握が可能となり、結果として「払った以上の利益を生む仕組み」が整う。
◆ まとめ:構造の誤りに気づけることは「力」だ
✅ 測りやすさがKPIを歪める
✅ 利益が「他人事」になる
✅ 空気を守る文化が数字を腐らせる
✅ 管理層も“利益の本質”を追えていない
この中で「それは違う」と言える人間は少数派かもしれない。
だが、その少数派こそが、組織の盲点を照らし、
組織を持続可能な、本当の企業へと変えていける。
だからこそ問い続けよう。
「この指標は何のための指標か?」
「この指標は組織の利益に貢献しているか?」
問い続けるあなたの存在こそが、
組織にとって最大の資産になるはずだ。





