信頼残高という言葉を知っていますか?
仕事でもプライベートでも、良い人間関係を築くには、信頼関係が欠かせません。特にこれからの時代は、土地や現金などの現物の資産よりも、「信頼」が大きな資産になると言われています。
そこで今回は、信頼残高とは何か、プロのカウンセラーも使う信頼残高を貯めるための方法について、ご紹介しようと思います。
信頼残高が分ける天と地
信頼残高とは、スティーブン・R・コヴィー氏の『七つの習慣』の中で紹介されている考え方です。
他人との信頼関係を、預金口座の残高にたとえたもので、周りの人と良い信頼関係が築けていることを「信頼残高が多い」、逆に信頼関係が築けていないことを「信頼残高が少ない」と表現します。
『13歳から分かる!7つの習慣自分を変えるレッスン』では次のように紹介されています。
じつは、信頼は相手の心のなかに預け入れをすることができます。信頼を預け入れるというのは、ふだんのつきあいのなかで、相手の自分への信頼感を大きくする、ということです。
『13歳から分かる!7つの習慣自分を変えるレッスン』(監修:「7つの習慣」編集部、出版:日本図書センター)
つまり、周りの人と信頼関係を、普段から築いておくことが大切ということです。
では、なぜ、周りの人との信頼関係が大事なのでしょうか?
それは、困ったときや、達成したい目標があるときに、周りの人から助けてもらいやすくなるからです。
例えば、あなたが新しくビジネスを始めたとき、周りの人と信頼関係があれば、顧客を紹介してもらったり、ビジネスに必要なものを安く譲ってもらったりできるかもしれません。
でも、周りの人と信頼関係が全くなかったら…
誰だって、自分が信頼している人は助けたいと思うし、逆に信頼していない人には協力したくない、というのは当然ですよね。
信頼関係を作る効果的な方法とは
では、信頼関係を作るには、どうしたら良いのでしょうか?
約束を守る?
優しい言葉をかける?
もちろん、それも良いでしょう。
けれども、最も効果的な方法は相手を理解することです。
人は誰かに「理解してもらえた」と思ったときに、大きな安心感を得ます。これは、人間がまだ自然の中で集団生活をしていた時の生存本能の名残です。自然の中で生きていた頃は、怪我をしたり病気になったりしたとき、周りの人に自分の状況を理解してもらえないことは、そのまま自分の死に直結しました。だから、人は「理解してもらえない」ということに大きな不安と恐怖を抱きます。
逆に、周りの人に自分の状況を理解してもらえれば、助けてもらえる可能性が出てきます。それは、自分の生き残る可能性が高くなるということです。だから、「理解してもらえた」と思ったとき、人は大きな安心を感じます。
信頼関係を築くときには、この安心感がとても重要です。なぜなら、誰だって自分に危害を加えるかもしれない人とは、親密な人間関係を作ろうとは思わないからです。
今から使える信頼関係を築けるようになる方法
信頼関係を築く上で、最も簡単な方法は「傾聴」を使うことです。傾聴は、カウンセラーなどの対人支援業に就く人が、クライアントから話を聴く際に用いる方法です。多くの人は傾聴をしてもらうと「理解してもらえた」と感じます。そのため、傾聴を使って話を聴くと、相手に安心感を与えることができ、信頼関係を築きやすくなるのです。
1 信頼関係を築けるようになる傾聴という聴き方
傾聴はとてもシンプルな方法で、やることは
「相手の気持ちに共感して、相手の話を一生懸命聴く」
これだけです。
その中でも、とくに大事なことは「共感」です。
共感というのは、自分が感じていることや考えていることを、一度横に置いて、相手が感じていることや考えていることを、相手の立場で「そうなんだな」と受け止めることを言います。
例えるなら、相手が「自分の家の窓からは海が見えます」と言ったときに、自分も相手の家にお邪魔して、相手の家の窓から海を見てみるようなものです。自分の家からも海が見えたとしても、その景色は相手の見ている景色とは同じにはなりません。だから、一度、自分家から出て相手の家まで行き、相手の家の窓から、相手の見ているのと同じ景色を自分も見てみるのです。そうすることで初めて相手の見ていたものがわかります。そして、相手の見ているモノを自分も見ようとすること、それが共感です。
でも、間違えてはいけないことがあります。それは、共感は相手の意見に賛同することでもないし、相手の感情に同感することでもないということです。あくまで、共感は相手の見ているモノを「ああ、あなたにはこう見えているのか」と、受け止めることを言います。
相手と同じものを見ようとすることは、相手を理解しようとすることに繋がります。自分が相手を理解しようとすれば、相手は安心感や信頼感を持ってくれるようになります。その安心感や信頼感が相手との信頼関係に繋がるのです。
2 傾聴をする上でやってはいけないたった一つのこと
傾聴をする上で、やらないように気をつけた方が良いことがいくつかありますが、今回はその中でもついついやってしまいがちで、最もやってはいけないことを、ご紹介します。
それは、ジャッジすることです。
誰かの話を聴いているときは、常識的に考えておかしいと思ったり、言っていることが間違っていると思ったりすることもあります。
例えば、子供が
「今日、先生に怒られた。宿題やってかなかったから。でもさ、わざとじゃないし…」
と言ったら、あなたはどう思うでしょうか?
もしかしたら、「宿題やっていかなかったあんたが悪いんだから、怒られて当然でしょ。」と思うかもしれないし、「わざとじゃなければ良いってもんじゃない」と思うかもしれません。
そして、ついつい「あんたが悪いんでしょ」と子供に言ってしまうかもしれません。
「宿題忘れたのが悪い」
確かに、それは、正論なのかもしれません。
でも、相手を受け入れることや理解することと、正論は別なのです。
どんなに正論であっても「あなたが悪い」と言ってしまうと、相手は「この人は自分のことを分ってくれない」と思います。そうなってしまうと、相手は自分のことを話してくれなくなるし、信頼関係を築くことも難しくなります。誰だって、批判されたり、怒られたりするのは嫌ですからね。
どうしても私たちは、社会のルールや常識で、物事を判断しがちになります。もちろん、そこには「社会のルールや常識を守らないことで、相手が損をしないように」そんな優しさがあるんだろうと思います。けれども、傾聴をする時は、そんな思いも、一度、横において、とにかく相手の話を集中して聴く、それが大事なのです。
3 傾聴はUAAするだけ
傾聴するときに具体的に行うことは、次のたった3つのことをするだけです。
- うなづく
- 相槌を打つ
- 相手の言葉を繰り返す
うなづきや相槌できちんと聴いていることを伝えながら、ときどき、相手の言葉の中で重要だと思う言葉を繰り返します。
傾聴は、何度も書きましたが、「一生懸命、相手の話を聴くこと」です。それは、裏を返せば、相手にたくさん話をしてもらうことです。そのためには、聴き手が話す言葉を最小限にする方が良いのです。だから、傾聴をする時には、疑念や批判を挟まずに、丁寧にUAAを繰り返していくだけで十分なのです。
「こんなことで本当に信頼関係が築けるの?」と疑問に思うかもしれませんが、ぜひUAAだけで周りの話を聴いてみてください。驚くぐらい、相手の人が話をしてくれると思います。そして、その分、相手との距離が近くなると思います。
終わりに
信頼残高をためるには、傾聴を使うと良いこと、傾聴のポイントはノージャッジで相手の話をきくこと、そんなお話をしまいたが、いかがでしたでしょうか。
社会生活を送る上では、周りの人との信頼関係の構築は外せません。傾聴は誰でもできて、けれどもとてもパワフルな方法です。良ければ日常生活でも使ってみてくださいね。


