焦りのような、喉が渇くような、どうしようもない欠乏感を感じるあなたへ

満たされない、どこか心が渇いている

 

 自分は満たされない、自分には何かが足りない、自分は欠けている…

 そんな風に思うことがあるでしょうか?

 資格を取っても、仕事をしても、お金を稼いでも、パートナーを得ても、満たされたと感じられない。今回は、そんな理由のわからない欠乏感を感じる理由と、どうしたらそこから抜け出せるのかをお話しようと思います。 

あなたに本当に欠けているものは

 何をやっても満たされた感じがしない、そんな欠乏感を感じるのはなぜでしょうか?

 自分の努力が足りないからでしょうか?

 いいえ、違います。
 
 あなたに本当にたりないもの、それは心の安全基地です。

心の安全基地(セキュアベース)とは

 心の安全基地とは、「自分が心の中に持っている理由のない安心感」のことです。
 アメリカの心理学者メアリー・エインズワースによって提唱された考え方。心の安全基地は、幼少期に親との信頼関係の中で育まれると言われ、子供は心の安全基地を持つことによって、自分の知らないことに挑戦していくことができる、と言われています。現在では、子供だけではなく、大人にもこの概念は適用されると考えられています。

心の安全基地(セキュアベース)が在るとどうなるのか

 心の安全基地を持つことで、自分に対する信頼感を持つことができます。自分を信頼できると、自分が知らないことに対しても、果敢に挑戦していくことができます。それは、「うまくいっても、うまくいかなくても自分なら大丈夫」という安心感が自分を支えてくれるからです。

 また、自分に対して信頼感を持っていると、ピンチになっても落ち着いて対処することができます。人がピンチになったときに、冷静に判断できなくなる理由は、「このピンチを切り抜けられなかったらどうしよう」という不安や恐怖に飲み込まれてしまうからです。けれども、心の安全基地を持っていると「失敗しても自分なら大丈夫」と思うことができるため、自分の不安や恐怖にさえ、冷静に対処できるようになるのです。

心の安全基地(セキュアベース)が無いとどうなるのか

 人間の欲求の基礎的なものに、安全を求める欲求があります。これは、身の回りの安全を確保したいという欲求であり、生存本能に近い欲求です。心の安全基地がない状態は、この自分の生存を保ちたいという基本的な欲求が満たされていない状態になります。そのため、いつも心の中に不安を抱えることになります。不安だから、その不安を穴埋めしようとして、お金を稼いだり、パートナーを得たり、という代償行動をとります。しかし、代償行動では心の安全基地を作ることができないため、いつまでも「何かが足りない」という欠乏感に苦しむことになるのです。

心の安全基地(セキュアベース)が与えられなかったとき

 親との関係性の中で心の安全基地を得られなかったときは、どうしたら良いのでしょうか?

 それは、すでに自分の中に存在している心の安全基地を見つければ良いのです。実は、人は心の安全基地をもって生まれてくるのです。けれども、その感覚を自覚するためには、安全基地を感じる経験を通して、その感覚を学ぶ必要があります。

 この感覚を感じる経験は、誰でも何歳からでも行うことができます。

 実際に、私のことをお話すれば、30代半ばまでは、ずっと不安と焦燥を抱えて生きていました。私はいわゆる毒家族の中で育っているので、幼少期は安心や安全とほど遠い環境で育ちました。その結果、心の安全基地を感じることができずに育ちました。けれども、30代半ばを過ぎて、自分の中の安全基地を発見したところ、それまで抱えていた焦燥や虚無感、不安が、いつの間にかなくなりました。

 心の安全基地は何歳からでも作ることができます。もし、今、理由のない欠乏感を抱えているとしたら、自分の中の安全基地を探してみると良いでしょう。

心の安全基地(セキュアベース)を得る最も簡単な方法

 心の安全基地を得る方法は意外に簡単です。それは自分が心の安全基地を持たなかった理由を見つけることです。
 
 人は自分が選んで今の現実を観ています。だから、今、心の安全基地を感じていないのならその現実を選ぶ理由が自分の中にあったということです。これは、あなたが悪いとか、あなたに責任があるとか、そういうことではありません。「心の安全基地がない不安な状況を選んででも、欲しいものがあなたにはあった」ということです。その自分が欲しかったものがわかったとき、自分の中の安全基地も見つかります。

 では、自分の中の理由を見つけるためには、どうしたら良いのでしょうか? 

 それは自己対話を観察することです。

 自己対話とは頭の中で繰り返される独り言です。この独り言の大部分は、自覚されることなく、消えていきます。けれども、この自己対話の中に、あなたが安全基地を持たなかった理由のヒントが秘められています。だから、自分の頭の中の独り言に、一日5分でも良いので、意識を向けてみましょう。きっと、安全基地がないという現実を選んだ理由が見つかると思います。

終わりに

 満たされない、何かが足りない、と感じたとき、人はお金やモノや名誉やいろいろなもので、その穴を埋めようとします。けれども、本来、人には欠けたところなどないのです。あなたに必要なものは、すべてもって生まれてきているのです。ただ、今はまだそのことに気が付いていないだけなのです。その気が付いていないあなたの宝物たちは、あなたの心の奥深くに眠っています。だから、自分の中を観察してみてください。きっと、そこには自分の人生を変えるくらいの大きな宝物が眠っているはずです。