心を守ろうとする働き「抑圧」~人生成功秘伝の書30~

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心を守ろうとする働き「抑圧」

 さて、実際に内的プログラムを観察していく話に入る前に、防衛機制という人間の機能についてお伝えしておきましょう。防衛機制を知っておくと、自分を知るときに無駄なストレスを感じなくて済みますから。

 防衛機制は、困難や危険に直面して、自分に受け入れられない嫌でつらい感情を経験したとき、自分が自分の心を守るために、不快な感情から意識的、無意識的に目を反らそうとする心の働きです。この考え方を最初に唱えたのは、オーストリアの精神科医ジークムント・フロイトです。

 代表的なものは、抑圧、否認、隔離分離、反動形成、投影、合理化、昇華、同一化、知性化、退行、打消し、置き換え、補償があります。

 簡単にそれぞれ防衛機制について説明しておきましょう。まず、抑圧。社会的にダメだと言われる欲求や、苦しみなどの感情とそれに伴う記憶を、無意識下へ追いやり、自分ではその欲求や感情を認識できなくします。

 例えば、子供が親から虐待されて、恨みを持っていたとしましょう。けれども、まだ自分が幼くて親がいなければ生きていけない状況にあるとき、親を恨んでいるという苦しみだけではなく、恨みがある親から逃げることも親と戦うこともできない、という二重の苦しみを感じることになります。その状況で生きることはとても苦しいので、親への恨みを心の奥底へ閉じ込めて、自分では認識できないようにします。それによって、親への恨みと、その親から逃げられないし、親と戦うこともできない、という苦痛から自分の心を守るのです。

 これが抑圧です。抑圧は防衛機制の主要な働きでもあります。

 抑圧の機能は、多くの場合、自分自身が自覚せずに、自分の感情や感覚を意識から追い出します。そのため、自分では抑圧した感情や感覚に気付きにくくなるのが特徴です。

 ただ、まったく気づく糸口がないかというと、そうでもありません。

 抑圧された感情や感覚は、本人が自覚しないうちに言動に現れたり、身体の不調となって現れたりします。

 例えば、親から虐待された恨みを抑圧している人は周囲に対して攻撃的になったり、ストレス性の疾患を抱えるようになったりします。

 よく心理療法の世界では、抑圧された感情を抱えていると、最初に金や人間関係の状況が悪くなり、最後は身体症状が出ると言われます。

 人間関係が悪化するのは、抑圧した感情が、本人が気づかないうちに周囲への攻撃的な態度などとなって現れるため、周囲との関係性を悪化させためです。

 また、自覚していなくても怒りや不安を感じているということは、体内ではその感情を感じる物質を生成し続けています。

 例えは、怒りを抑圧しているのであれば、本人は自覚していなくてもノルアドレナリンが分泌されているということです。

 ノルアドレナリンの脳内濃度が高まると、副腎からコルチゾールと言われるストレスに対処するためのホルモンが分泌されます。コルチゾールは抗酸化作用や、糖を分解してエネルギーに変える作用をしますが、長期的に体内で放出され続けると、免疫系や内分泌系、消化器系と呼ばれる脳内の神経の働きを狂わせたり、精神疾患を引き起こしたりするなどの弊害が出ます。

 人間をはじめとする動物が獲得してきた抗ストレス機能は、長期間、身体に作用することは前提になっていません。なぜなら、自然界でのストレスは、天敵に襲われるなど目の前に迫った生命の危機であって、通常、その危機は短期間で決着の着くものだからです。

 そのため、抑圧によって自分自身がストレスを自覚していなくても、身体は長期間ストレス状態にさらされことになるため、身体に悪影響が出てくるのです。

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